西野の住居
2024.3
北海道札幌市
この建築は、設計者の自邸です。
敷地は札幌市西野、住宅街と手稲山の間に位置する山裾で、自然豊かな環境です。
前面道路は山にぶつかるように袋小路となっており、知り合い以外は通る事がないような、静かで落ち着いた場所です。
この場所を気に入り、自邸の敷地としました。
自邸を設計するにあたり、「広場のような建築」にしたいと思いました。
寝る場所や食べる場所など、用途が決められていない、どこで寝ても、どこで食べても、どこで読んでも、どこで遊んでも良いような、家族それぞれがその時の感情で、自ら好ましい場所を見つけて生活する、気楽で自由な建築です。
具体的には、可能な限り用途を定めず、様々な環境を持つ空間を設計しています。
天井が高い·低い、暖かい·涼しい、風が抜ける·留まるなど、些細で多様な場を設計し、選択のきっかけとなるようにしました。
1階は、地形の約2.4mの高低差を、そのまま室内に取り込んだ空間で、この地の歴史や地面と強く向き合います。ガラス張りで天井が高く、屋外のような場所です。
2階の床は、地形の高い部分から800mm浮いた位置に設定し、場所によって床であり、テーブルであり、椅子であるような曖昧なものを目指しました。室内を全て白く塗装した、繊細な場所です。窓は腰壁で眼下の住宅街をカットし、稜線や空だけを望むことができます。
3階は、天井が低く、壁には窓がありません。小さな天窓と、吹抜けから漏れる光だけがある、落ち着いた空間です。
各層を繋げる吹抜けは、温度や光、風、匂い、音など、様々なものを行き来させます。
吹抜けはカーテンで覆うことができ、温度などをコントロールすることが可能です。
3階のカーテンを開放し、下層の暖かい空気を吹抜けを介して取込んだり、カーテンを締め切って、吹抜け上部の天窓から暖かい空気を効率よく屋外へ排出したりします。吹抜けが簡易な煙突になるようなイメージです。
様々な環境を選択しながら、カーテンや家具という身軽なもので、その都度より快適な環境をつくっていく、そんな自由な住宅となりました。
設計:堀部太建築設計事務所
施工:北匠建設株式会社
撮影:久野浩志
規模:混構造3階建(1階-RC造、2,3階-木造)
面積:258m2(78坪)