余白のある家
2016.11
北海道札幌市

札幌市豊平区月寒地区に建つ、30代ご夫婦と子供2人の4人家族のための住宅です。 敷地は閑静な住宅街。周辺には教育施設や郷土資料館のある、地区の中心として栄えた歴史のある地域です。ご家族は街の落ち着いた雰囲気と 、子育て環境の充実、南面接道で日当たりの良いこの土地の購入を決めました。
要望は「三角屋根の家」「明るい家」「プライバシーの確保」の3つです。
「三角屋根の家」を実現させるため、前面道路に向かって妻面が見える、切妻屋根を採用しました。また、豪雪地帯である北海道にとって落雪は大きな問題となるため、無落雪屋根としています。
「明るい家」を実現させるため、建物形状を東西に長い形とし、日当たりの良い南面がより多くなる計画としています。そうする事で玄関、LDK、寝室など主要な室を全て南面に配置することが可能となり、各主要室に十分な採光をとる事ができます。
「プライバシーの確保」を実現させるため、建物の中心に小さな「余白」のような空間を計画しました。敷地南面にある前面道路は比較的人通りがあり、南面に大きな開口を設けると十分な採光をとる事ができる一方、プライバシーの確保が難しくなります。そこで、LDKに設けるメインの開口と前面道路との間に、プライバシーの緩衝空間として「余白」のような空間を配置する事で距離が生まれ、快適な生活を送る事ができます。また、この空間を介して、玄関、LDK、吹抜を結ぶ事で、実際の面積以上に空間を広く感じることができ、開放感を得られるよう設計しています。 この空間は用途のない「余白」のような空間のため、時に趣味のスペースになったり、子供の遊び場になったり、家族で食事をとることもできます。それらの行為が、少しだけ家の外まで溢れでて、家の表情は日々変化していきます。
閉鎖的で完成時が一番良い建築ではなく、長い年月をかけ、少しずつ自分たちらしい素敵な住宅に変化していく。
そんな住宅を目指しました。

設計:堀部太建築設計事務所
施工:有限会社 徹庚ハウジング
撮影:佐々木育弥
 
規模:木造2階建て
面積:延115m2(34坪)